フェデリコ・デル・カンポ(1837–1923)は、ペルー生まれの画家でありながら、19世紀ヨーロッパにおいて最も美しくヴェネツィアを描いた風景画家のひとりとして知られています。彼の作品には、絢爛でありながらもどこか静けさをたたえた水の都の情景が、息をのむほどの細密さと光の表現で描かれています。
デル・カンポが描いたヴェネツィアは、観光的な視点を超えて、時間が止まったかのような詩的な空気感に満ちており、まるでキャンバスの中に入り込んでしまうような感覚を覚えます。ゴンドラが水面を滑る音や、陽光が建物のファサードに反射する一瞬のきらめきまでが伝わってくるかのようです。
彼の卓越した技術は、建築の細部や水面の反射に表れており、その写実性と構図の美しさは、ヨーロッパ各地のコレクターたちを魅了しました。